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不動産登記法が改正! 2025年から始まる検索用情報の申出義務化とは

2025年4月21日から、土地や建物の権利に関する登記申請の際に「検索用情報」の申出が義務化されます。申し出た情報は、引越しなどによって住所などに変更が生じた場合に、登記簿を自動的に更新するために利用されます。申出がないと将来的にはペナルティを被る可能性があるため、注意しましょう。

 

検索用情報の申出義務化とは


2025年4月21日から、不動産の権利に関する登記を法務局で行うにあたって「検索用情報」の申出が義務化されます。2026年4月から始まる住所・氏名変更登記の義務化に先立って導入される制度です。

検索用情報とは

検索用情報とは、土地・建物の情報が記載された「登記簿」を扱う法務局において、記載された所有者を正確に特定するために必要となる情報です。具体的には、登記名義人(=登記申請によって不動産の権利を得る人)にまつわる5つの情報が挙げられます。

1. 氏名
2. 氏名のフリガナ(外国人の場合はローマ字表記)
3. 住所
4. 生年月日
5. メールアドレス

検索用情報の申出が必要となるケース

検索用情報の申出が必要となるのは、売買や相続によって不動産の持ち主が変わったり、持ち主の情報について訂正する必要が生じたときです。厳密には、上記について登記申請する際だといえます。

▼検索用情報の申出が必須となるケース

登記の種類 具体例(一例)
所有権保存登記 建物を新築したときなど
所有権移転登記 売買・贈与・相続などで不動産を得たとき
合体による登記など 2棟の建物を1棟にする場合など
所有権更正登記 共有持分の誤りを訂正するときなど

氏名・住所変更登記の義務化との関係

検索用情報の申出義務の背景にあるのは、2026年4月1日から始まる氏名・住所変更登記の義務化です。改正法が施行されると、不動産を所有する人は、自身の住所や氏名に変更があった場合、その変更日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません。正当な理由なく変更登記を怠ると、5万円以下の過料が科される可能性があります。

検索用情報の申出制度は、上記の義務の負担を軽減するために導入されるものです。事前に情報を申し出ておくことで、自ら変更登記を申請しなくても、法務局が住基ネットの情報を取得して職権で登記を更新できるようになります。このように自動更新が行われることで、期限内に登記しなかったことによるペナルティを回避できるのです。

 

検索用情報の申出のやり方・要件


2025年4月21日から始まる検索用情報の申出制度では、申出方法や必要な情報について明確なルールが定められています。この申出は、登記申請と同時に行う方法と、既に所有者として登記されている場合に単独で行う方法の2種類があります。

情報提供の対象者と適用範囲

検索用情報の申出をするのは、国内に住所を有する自然人(=個人)を所有者として、自身もしくは司法書士などの代理人の手で登記申請する場合です。下記のケースでは、住基ネットとの連携による所有者情報の取得は不可能とされるため、申出は不要です。

■ 検索用情報の申出が不要となるケース
● 所有者(登記名義人)が法人である場合
● 所有者(登記名義人)が海外居住者である場合
● 登記名義人とは異なる人による申請の場合※
(※債権者が差押えなどを目的に代位して登記する場合など)

なお、共有不動産である場合や、自分で法律行為ができないとされる人については、次のような取扱いとなります。

■共有不動産の場合
……各共有者がそれぞれ検索用情報を申し出る必要があります。

■制限行為能力者の場合
……未成年者や成年被後見人などの場合は、法定代理人(親権者や成年後見人など)が申出を行いますが、検索用情報は本人のものを提供します。

登記申請と同時に申し出るときのやり方

所有権の保存登記や移転登記などの申請と同時に検索用情報を申し出る場合、登記申請書に必要事項を追記します。オンライン申請では専用の入力欄に検索用情報を入力します。書面申請の場合は、従来の申請書の記載事項である住所・氏名に加えて、氏名のフリガナ、生年月日、メールアドレスを追記します。

登記申請とは別に申し出るときのやり方

2025年4月21日時点ですでに所有者として登記されている人は、郵送または窓口もしくはオンラインで申出のみ実施できます。

■郵送または窓口で申し出る場合
……不動産の所在地を管轄する登記所へ、申請書のほかに、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)や、検索用情報の証明書類(住民票の写し)などを提出します。

■オンラインで申し出るの場合
……法務省の「かんたん登記申請」ページから「検索用情報の申出」を選択し、画面の案内に従って必要事項を入力します。本人確認のため、運転免許証や個人番号カード等の身分証明書の写しの添付が必要となりますが、押印や電子署名は不要です。

 

2026年以降の不動産登記法改正の予定


不動産登記法の改正は2025年4月の検索用情報の申出義務化だけでなく、2026年以降も継続して行われます。所有不動産記録証明制度の創設、海外居住者の国内連絡先の登記、DV被害者等の保護のための特例措置など、さらなる改正が予定されています。

所有不動産記録証明制度の創設

2026年2月から、個人が所有するすべての不動産を一覧で確認できる「所有不動産記録証明制度」が創設されます。この制度では、本人や相続人が申請することで、同一名義である不動産の名寄せができるようになります。

海外居住者の国内連絡先の登記

2026年4月から、海外に居住する不動産所有者は、日本国内の連絡先を登記することが義務付けられます。これは、海外居住者との連絡が困難なことによる所有者不明土地の発生を防ぐための措置です。登記可能な国内連絡先は、親族や知人、法人などが該当し、連絡先の同意を得た上で登記申請を行います。

DV被害者等の保護のための特例措置

2026年4月からは、DV被害者等の保護を目的とした特例措置が導入されます。この措置により、DV被害者等は登記簿上の住所を非公開にすることができます。申請には、DV被害者等であることを証明する書類(保護命令決定書の写しなど)と本人確認書類が必要です。非公開とされた情報は、登記事項証明書には記載されず、特定の公的機関以外は閲覧できなくなります。

 

不動産のオーナーや相続人が取るべき対応


2025年4月21日から始まる不動産登記法改正に伴い、不動産のオーナーや相続人は新たな対応が求められます。検索用情報の申出義務化や住所・氏名変更登記の義務化に備え、登記申請の方法を再確認し、既存の登記に対する対応を行う必要があります。また、法人所有者の場合は特有の注意点があります。

法改正以前に登記した場合は別途申出の手続をする

2025年4月21日までに登記が完了している不動産の登記情報には、検索用情報が紐付いていません。このままにしておくと、住所・氏名変更登記の義務化のあと、うっかり手続きを忘れた場合に過料の対象となる可能性があります。余裕のあるタイミングを見つけ、別途申出の申請をしておくと良いでしょう。

法人所有者の場合の注意点

法人所有者は検索用情報の申出義務の対象外ですが、住所・名称変更登記の義務化には対応が必要です。法人の本店所在地や商号の変更があった場合、商業登記簿の変更登記と同時に不動産登記の変更登記も行わなければなりません。これらの手続きを怠ると、最新の法人情報が不動産登記に反映されず、将来の取引に支障をきたす可能性があるため、注意を要します。

 

まとめ


2025年4月21日から施行される不動産登記法改正により、所有権に関する登記申請時に「検索用情報」の申出が義務化されます。この制度は、2026年4月から始まる住所・氏名変更登記の義務化に備えたものであり、事前に検索用情報を申し出ておくことで、住所や氏名が変わった際に自動的に登記が更新されるしくみです。

すでに登記申請を終えた人や、長年所有する不動産がある人は、余裕をもって検索用情報の申出手続きを行っておくと安心です。不明点があるときは、司法書士に相談してみるのも良いでしょう。